Spice‼︎

梨花は次の日、真相を確かめるために風間を誘った。

風間は久しぶりの梨花からの誘いに胸を躍らせていた。

待ち合わせはヒロのいるバーという事だけが引っかかっていたが
とりあえず会いたくて梨花との約束より30分も早く着いた。

「いらっしゃいませ。

ヒロは風間の顔を見ると微笑んで

「あ…風間くん、約束より早いですね。」

と言った。

「悪いですか？」

ヒロが梨花と待ち合わせた時間まで知っていて
風間はちょっと不機嫌になる。

同棲相手の店に呼ぶ事自体、
少なくとも今夜、梨花は自分と寝るつもりは無いとわかっている。

少し経つと梨花が来て、風間の隣に座った。

「早かったね。」

「早く逢いたくて。」

相変わらず風間はいい男だと梨花は思う。

初めて見る薄茶のストライプが入ったブラックのイタリア製のスーツがすごく似合っていて
梨花はなんだかドキドキしてしまう。

カウンターの下では風間がその長い脚を窮屈そうに梨花の方に伸ばすと
梨花の脚に風間が触れ、
その感触が伝わってくる。

風間は梨花の瞳を見つめながらグレーのネクタイを綺麗な指で緩めながら聞いた。

「食事、まだですよね？
一杯飲んだら出ましょうか？
何が食べたいですか？」

梨花はしばらく風間に見とれていたが
ハッとしたように今日風間に会った目的が何かを話した。

「風間くんが…初めてここに来たのって桐原部長の紹介？」

「え？」

風間は何となく気まずい顔をしている。

「本当の事教えて。」

梨花に迫られて風間はその重たい口を開いた。