Spice‼︎
「…そうです。
あの時は…
偶然見つけて立ち寄ったみたいに言ったけど…
ホントは偶然なんかじゃなかった。
桐原さんに…梨花さんが毎晩のようにここに来てるって教えて貰って…」
梨花は自分の推測が外れていなかったことにガッカリする。
「どうして桐原部長がそんなこと風間くんに教えたんだと思う?」
「俺の気持ちを知ってたから。
藤城梨花が好きだろう?って言われて…」
「風間くんはその時、私と桐原部長の関係を知ってたんでしょう?」
「…知ってました
ホントは梨花さんと、不倫してますよね?って桐原さんに言ったら
口止めにこの店を教えてやるって言われたんです。
それで…桐原さんが1週間自分は梨花さんと会わないから、
お前が誘ってみろって…」
「最初から桐原部長と私を共有しようって話だったの?」
「いや…僕は…梨花さんと僕がうまくいったら桐原さんは梨花さんと別れると思ってました。
酷い事するなって思ってはいたんだけど…」
「ならどうして私に言わなかったの?
桐原部長は酷い男だからアイツとは別れろって!」
梨花が急に大きな声を出して
風間はビックリした。
カウンターのヒロも他の客も顔を上げて梨花を見た。
「風間くんは桐原部長が私と会わせた意味を分かってないんだよ。」
「意味?…わかってますよ。
梨花さんは寂しがり屋だから…自分の居ない穴を埋めて欲しかったんでしょう?」
「バカみたい。
風間くんも私も…
桐原部長に躍らされてただけなのに…」
梨花が涙を流すと
風間は何も聞かずに長い指で梨花の泪を拭った。