Spice‼︎
「どこ住んでんの?」

「ヒロの店の近くに部屋を借りたの。」

「地図書いて。」

ヒロはカウンターに座る希の前にメモ用紙とボールペンを置いた。

「え?地図?アナログだなぁ。
書いたら来てくれる?」

「今夜…仕事終わったら考える。」

梨花だって風間と寝たんだから
こんなことは許されるだろうとヒロは思った。

それでも閉店間際になるとどうしようか悩んでいた。

とりあえず梨花に連絡することにした。

「梨花…今夜…外泊してもいいかな?」

「…うん…いいけど…もしかして女?」

「…うん…希…」

「え?」

「離婚したんだって。」

「そっか。ヒロくん…戻りたいよね?」

「…梨花が決めていいよ。

行くなって言ったら行かない。」

梨花にはそんな事を言う資格はない。

「…それは私が決められる事じゃないよ。」

ヒロは大きな溜息をついた。

「…じゃあ…行かないって言ったら
梨花も他の男と手を切るか?」

「…そうしようか?

でも…ヒロくんはそれでいいの?
あんなに好きだった人が…
ヒロくんの為に全てを捨てたんじゃないの?

それって結構羨ましいよ。」

「梨花は俺が居なくなってもいいの?」

「それは…嫌だけど…でもヒロくんの恋を邪魔する権利はない。」

ヒロはもどかしかった。

梨花が"行かないで"って言ってくれたら
きっとすごく楽になれたのに…






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