Spice‼︎
その涙を見て桐原が手を伸ばして指で拭った。

「だから梨花…風間ともあのバーテンとも別れて
俺のモノだけになってくれないか?」

梨花は首を横に振った。

「こんなに好きになった女はお前だけなんだ。」

「桐原部長は悔しいだけだよ。

風間くんやヒロくんに気持ちが動いた私を許せないだけ…

わかってるから…

桐原部長はきっと何も捨てられないし…

そのうち私にも飽きる。

そしたらまた他の女と寝る。」

「お前が俺を信じてないのはわかる。

でも…俺はお前が居ないと息も出来なくなりそうなんだ。」

梨花が信じてないのは桐原じゃない。

人を愛するということを信じられないだけだ。

それはヒロとも風間とも共通する。

ただヒロとは男と女ではなく友情とsexで繋がってるだけだが
風間は梨花のために何もかも捨てられる男だった。

それでも梨花は風間のように全てを捨てられると
それはそれで受け止めきれなかった。

そこへ先ほどと同じ店員がコーヒーとサンドイッチを持って来た。

桐原は

「ありがとう。」

と店員から受け取って梨花の前にサンドイッチを置いた。

「とりあえず食べよう。」

2人で朝食を食べることは滅多にない。

梨花は頷くとアボカドとエビの入ったサンドイッチを口に入れた。


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