Spice‼︎
梨花は風間のその顔をみて後悔した。
「風間くん…もしそれが私のせいなら…」
「梨花さんのせいじゃありません。
元々これが運命だったんです。
僕は母と二人で暮らしていた頃のあんな普通だけど…暖かい家庭が好きでした。
ああいう風にずっと暮らして行きたいと思ってました。
大好きな人と結婚して二人で子育てして…
でも…僕にはあの人の血が流れていて…
そんな生活は夢だったんです。
逆らったところでどうにもならないってわかってました。
だから梨花さん…もう会いません。」
風間に社長に謝れと言ったのは間違いだったかもしれない。
「風間くん…ごめん…私、風間くんに酷いこと言ったよね?」
「桐原さんはきっと会社を辞めるでしょう。
離婚もするでしょうし…
桐原さんならもっと他に自分の能力を活かせる場所があるはずです。
自分で起業してもあの人なら成功する。
だから梨花さん…桐原さんと幸せになってください。」
梨花はなんて事を風間にしてしまったんだろうと後悔していた。
自分のために父親と仲違いをして
桐原のせいで全てを失った風間を元に戻してあげるべきだと思ったが
風間はもっと不幸になってしまった。
それどころか風間が社長になれば
桐原が自由になれると言ってしまった。
梨花は取り返しのつかない罪を風間に犯してしまった気分だった。