Spice‼︎
「梨花、風邪引くよ。」

ヒロがベッドまで連れて行こうとすると
梨花が目を覚ました。

「あ、お帰り…遅かったね。

もう…明け方?

泊まってくれば良かったのに…」

「梨花の顔が見たくて。」

「そんなこと言ったら希さんがヤキモチ妬くよ。」

今のヒロは多分希より梨花と一緒に居たいのだ。

現に希と過ごすより、梨花といた方が気が楽だった。

恋愛感情と言うより同志って感じだった梨花は
たまに自分の前で愛しい女に変わる。

それは多分たまにだから梨花が楽なのだ。

「梨花…考えてくれた?

俺と一緒になるって話。」

「どうして?

ヒロくんが愛してるのは希さんでしょう?」

「希といると最近少し疲れるんだ。

それに…罪悪感と責任感が一気に押し寄せて来た感じで…

希に別れるって言ったらどう思う?」

「酷い事を言うんだね。

希さんが可哀想だと思わないの?

ヒロくんのために別れたのに…

もう愛してないってこと?」

「愛してない訳じゃないけど…自信がない。

可哀想か…確かに今の希は何か惨めで見てるのも辛い。」

「惨めって…ヒロくんがそうさせたんだよね?」

「やっぱり俺ってクズだな。

でも結婚に恋愛って必要だと思う?」

「思わないけど…

ヒロくん見てると自分を見てるみたいで…

なんだか嫌になるし、怖くなる。」

梨花はそう言い残して服を脱ぐとベッドに入った。

ヒロが梨花の寝てるベッドにやって来て
梨花にキスをしようとした。

「希さんとして来なかったの?」

「してきたけど…

梨花を見たら梨花が欲しくなった。

梨花はしたくない?」

「したくない訳じゃないけど…

今のヒロくんは好きじゃない。」

それでもヒロの唇が触れると
梨花はヒロを受け入れた。
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