Spice‼︎
桐原の体温が梨花の身体を包む。

桐原は全身に力を入れて梨花をぎゅっと抱きしめた。

少しだけ息苦しくなって、梨花は桐原の腕を掴んだ。

「っ…苦しい…よ」

それでも桐原は力を弛めない。

梨花はもっと辛くなって桐原の腕の中でさらに抵抗する。

桐原は抵抗すればするほど力を込めた。

「苦しい顔ってイク時と同じなんだよな。」

桐原は笑ってその手を弛めた。

「死ぬかと思った?」

梨花は大きく息を吸った。

なんとなく上海に行く話をしづらくなった。

「梨花…今夜、妻に話すよ。
それから退職願を出す。」

桐原がそんなことを言うので
梨花の気が焦る。

今日言わなければ桐原から逃れられなくなる。

「桐原部長…私は…」

そこまで言いかけると桐原が梨花にキスをした。

「何も言うな。聞きたくない。」

桐原はこれが最後だと分かっているんだろうか?

梨花は弱い場所を執拗に責められて言葉にならなくなる。

そして桐原は最後に土方と同じ様に梨花の首を絞めた。

「梨花…このまま一緒に逝こうか?」

桐原が耳元で囁くと手に力をいれた。

苦しそうに喘ぐ梨花の瞳から涙が溢れてこぼれ落ち、シーツがそれを吸い込んでいく。

快楽と息苦しさが一体になって
梨花は気を失った。

気がつくと桐原が梨花の上で果てていた。

桐原の熱い乱れた息が梨花の胸にかかる。

「死ぬほど気持ちよかった。」

桐原はそう言って身体を起こした。



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