Spice‼︎
それから3年の月日が流れ、
上海のプロジェクトは大変な時もあったが
何とか無事に成功し、
梨花たちは帰国する事になった。
土方は現地で日本人の通訳と結婚し、
家族が増えて帰国した。
梨花は相変わらず1人でいる。
上海で仲良くなった男も居たが
結局、長く続かなかった。
梨花は33歳になっていた。
そして風間も30を過ぎ、それなりに大人の男になった。
「梨花さん、お元気でしたか?」
「うん。風間くんは…また偉くなったね。」
風間は海外事業部の次長になっていた。
梨花との噂は3年も経つとすっかり消えて
風間と梨花が同じ部署でも誰も気に留めなかった。
そして新婚の土方は上海のプロジェクトでの功績を認められて海外事業部の部長になった。
仕事も私生活も順風満帆だった。
風間は既にあの父が決めた相手と結婚でもしているかと思ったが
未だに1人でいる。
梨花と同じ部署になるのを社長だけが唯一心配していたが
3年の間に社長に新しい女が出来て、
風間に対して口煩くなくなった。
その相手の女はあの商品管理部4課で梨花の隣に座っていた長谷川香織だった。
「ホントに社長の愛人になっちゃった。」
梨花は香織にそれを聞いてビックリして椅子から落ちそうになった。
「だから藤城さん、困ったことがあったら私に言って。
健斗くんとより戻しても良いのよ。
私が邪魔させないから。」
香織は社長の正妻と激しいバトルはあるようだが
社長に可愛がられてそれなりに幸せそうである。
そして梨花は風間と
たまに会って食事をしたりするようになった。