Spice‼︎
そして暫くすると梨花が店にやって来た。

麻美は一目で今来たこの女が桐原が忘れられない女…

梨花だとわかった。

梨花は風間の右隣に座っている美女に軽く会釈をして
風間の左側の席に座った。

「今晩は。何?風間くん、ナンパ?」

とからかって笑った。

麻美は色っぽくて綺麗な梨花を見て少しだけ敗北感を味わう。

梨花のような女を男はみんな好きになると麻美は思っている。

こんな女を男は守りたいと思うからだ。

麻美は昔から何でも一番だった。

勉強も運動も容姿も育ちも問題なくて
自分が一番だと常に思っていたが…

なぜか自分の好きな男はみんな親友だった春花の方を選んだ。

梨花を見たときにその春花を思い出したのだ。

ブランドで固めた自分とは違って
梨花はファストファッションでわりとカジュアルに済ませているが
とにかく色っぽくて綺麗に見える。

モデルのような細い自分の身体と比べて肉感的で色っぽく
シャツのボタンを二つ外してるだけで
何となく隙があるように思える。

綺麗な顔で時々男を覗き込むように上目遣いで見るのも自然で計算的じゃない。

天性の魔性の女だと麻美は思った。

「梨花さん、彼女は…桐原さんの会社の人で…山崎さん。」

麻美が軽く会釈をして、
梨花も頭を少しだけ下げた。

桐原の名前を聞くだけで胸が痛くなる。

麻美のような綺麗な女が桐原と毎日一緒に居ると思うと不安になった。

「今の…桐原さんの恋人だそうです。」

と風間が言うと梨花は明らかに落ち着きを無くした。

麻美はそれを見て梨花もまだ桐原を思っていることを知った。






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