Spice‼︎
麻美が帰ったあと、梨花もすぐに帰ると言った。

フラフラとあるく梨花を風間が部屋に連れて帰ろうとすると

「一人になりたい。」

と梨花がその手を振り払う。

風間は仕方なく梨花の手を離し、梨花が心配で跡を付ける。

梨花の足はなんとなく桐原と使っていたホテルに向かう。

桐原と使っていた部屋は偶然にも空いていて
梨花は1人でその中に入る。

まだ自分を失うほど酔ってはいないと思っているが
一人になった梨花は行き場の無い悔しさと
アルコールのくれた勢いで
桐原に電話をかけていた。

完全に理性は崩壊していた。

「もしもし…」

懐かしい声が梨花の耳をくすぐる。

「桐原部長…もう社長かな?」

接待から帰ったばかりでソファに寝転んでいた桐原は梨花の声を聞いて思わず立ち上がった。

「梨花か?」

「うん。…桐原社長…昔の女とエッチとかしたくない?」

「…酔ってるだろ?どこだ?」

梨花は何も答えない。

今の桐原なら場所を言ったとしたら来てくれるんだろうか?

独身になった桐原に梨花は思わずそんな期待をしてしまう。

「梨花…会いたかった。」

その声に梨花は惹きこまれそうになる。

「…本当に最低…彼女いるくせに…」

梨花は今にも泣きそうな声で
桐原は何を言ってるのか理解出来ない。

「…梨花…とりあえず会って話さないか?」

「私、知ってるんだから…

綺麗な人だよね?…麻美さん。」

桐原は麻美という女が誰なのか最初は分からなかったがしばらく経って秘書の山崎の名前が確か麻美だったと気がついた。

「もしかして秘書の山崎の事か?」

「彼女にもエッチな下着着けさせてるの?」

桐原は梨花の気持ちがまだ自分にあることを知って
早く梨花に逢いたくなる。

逢って思い切り抱きしめたかった。

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