Spice‼︎
束縛されると逃げたくなる
梨花はベッドから起き上がって帰ろうとするが
桐原が梨花の手を握った。

梨花が振り返ると桐原はその手を引き寄せて
梨花をベッドに沈める。

そして思い切りキツく抱きしめてくる。

「梨花…泊まってこう。

今夜は側に居て欲しい。」

「それは見返りとして?」

「違うなら帰るんだろ?

見返りでいいからここにいてくれ。」

梨花は桐原を見つめて、少しの間考えてから答えた。

「わかりました。」

桐原は梨花にキスをして微笑んだ。

その顔に梨花の胸が締め付けられる。

子供みたいな笑顔が梨花の気持ちを揺らして
梨花は目を伏せた。

その夜はなかなか眠れなかった。

桐原は疲れているのか少し経つと眠ってしまった。

梨花は一晩中桐原と居られる喜びを感じた。

桐原の寝顔を見て

「やっぱり好きみたいです。」

と囁くように言った。

そのうち深い眠りについて
少し経つと入れ違いに桐原が目を覚ます。

梨花が隣に居るのを確かめて安心する。

「ごめんな。どうしてもお前を諦められない。」

そう言って梨花を抱き寄せた。

梨花は少し苦しそうにして居たが、
お酒を飲んだ後ということもあって
目を覚まさずそのまま桐原の腕の中で眠った。



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