Spice‼︎

桐原は梨花の声がおかしいのにすぐに気がついた。

「どうした?声がおかしいな?」

「風邪気味なの。」

「そうか?…それにしても…どうして電話をとった?

ずっと機会をくれないと思った。」

梨花は声が聞きたかったとは言えなかった。

「風間くんだと思って…」

「じゃあ今…一人なんだな?

看病に行こうか?具合悪いんだろ?」

梨花は来て欲しいと思ったが、
その声を飲み込んだ。

「ううん。

もうすぐ風間くんが来ると思う。」

今は嘘をつくしかなかった。

「梨花…俺じゃダメか?

風間にそんなに惚れてるのか?」

梨花の瞳から涙がこぼれ落ちた。

桐原が好きだけど…風間の事だってホントは大好きだ。

それにあんな風にまた桐原に傷つけられるのは怖かった。

麻美と二股かけられて、寂しい思いをするのも我慢できそうになかった。

こうやって拒んでいれば、
桐原は手に入れるために必死になってくれる。

梨花は今の関係のままでしか、桐原に近づけなかった。

「泣いてるのか?」

「もう切るね。」

涙が我慢できなくなって梨花は電話を切った。

暫く泣いて、落ち着くとワインを開けた。

風間から何度も連絡があった。

部屋まで来たが居ないフリをした。

そのうち酔って夢を見てる気分になった。

知らないうちに眠ってしまい、
気がつくとなんと桐原が隣で眠っていた。

梨花は何が起きたのか全然分からなかった。

ワインを飲んだ後の記憶が全く無かった。
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