Spice‼︎

都合のいい男の逆襲

梨花の私生活は崩壊寸前だった。

風間の束縛に我慢できず、ヒロと浮気して
桐原を酔った勢いで部屋に泊めてしまった。

だらしない自分を支えてるのは仕事だけなのに
その仕事も身に入らない。

梨花はそんな自分を正すために風間をランチに誘った。

「昨日はゴメン。」

梨花が謝ったが風間は黙っている。

「風間くんが嫌になったワケじゃないの。

もともとこういう性格だから…

色々言われると疲れちゃうっていうか…」

風間は何も言わずに黙々と食事をしている。

「風間くん、何か言ってくれない？」

箸を止め、梨花の顔を見ると
風間は言った。

「僕たち別れませんか？」

梨花は風間から別れを切り出されるとは思ってもみなくてかなり動揺した。

「え？」

「僕ではダメだと思うからです。

嫉妬するのも疲れるんです。

今の梨花さんには桐原さんしか見えてないですよね？」

その瞬間、梨花は後悔していた。

風間の存在に安心し過ぎていた。

「ちょっと待って。

風間くんと別れるつもりなんてないから。」

「僕はいつまでも梨花さんのただの都合のいい男じゃいられません。

それに父から縁談の話が来てます。

正直、梨花さんとは結婚はあり得ないだろうし…

でも僕は子供も欲しいし、安定した家庭も欲しいです。

それに会社のためになるなら結婚も悪く無いでしょう。」

自分の風間に対する態度を反省したが
それはもう手遅れなのかもしれないと梨花は焦った。