Spice‼︎
そんな縁談を梨花のために一度は断ろうとしたが
会社の事を考えたら簡単には断れない相手だ。

そして昨日梨花との喧嘩が風間にそれを決断させた。

今日の朝、父に

「見合いの日程を決めてください。」

と言ってしまった。

それでも別れると言ったときの梨花の顔が頭から離れなかった。

梨花は仕事していても、風間に言われた

「別れませんか?」

という言葉が何度も思い出されて
その度に胸を痛める。

結局、風間は自分とはやっぱり住む世界が違う。

それでも梨花は風間との楽しかった日々を思うと離れたくなくて
改めて風間が自分にとってどれだけ大切だったか思い知らされた。

こんな結果を招いたのは自分のだらしない行いのせいだった。

桐原への未練をいつまでも捨てられずに
風間の愛を重く感じ、浮気を重ねた罰だと思った。

梨花は仕事が終わると風間に話があると誘った。

風間は仕事で遅くなるらしく

「部屋で待っててください。」

と言った。

梨花は時間を潰すためにヒロのバーに寄った。

「いらっしゃい。」

ヒロは少し期待してる。

あの夜の事があってまた梨花と始められるんじゃないかと何処かで願っていた。

「今日、終わったら梨花の部屋に行っても?」

「ゴメン。今夜は風間くんの部屋に泊まるの。」

「そっか。」

明らかに残念そうなヒロを見て
梨花はハッキリと言った。

「この前はゴメン。どうかしてた。」

ヒロは梨花に突き放されて
目が覚めたようだ。

「こっちこそゴメン。

オレもどうかしてた。

でも…すごく救われたんだ。」

そう言うとヒロは梨花が帰るまで
梨花と目を合わせなかった。
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