Spice‼︎
次の日、梨花がヒロのバーにやって来た。

ここの所、梨花に対してずっと不機嫌だったヒロだがなぜかいつものヒロに戻っていた。

「梨花…昨日だけど…桐原さんが来てた。」

「え?」

梨花はその名前を聞くだけで戸惑ってしまう。

「何か言ってた?」

「風間くんを追いかけてるって言ったら笑ってた。」

「笑ってた?」

「あぁ。あの人は梨花の事よく分かってるんだな。」

梨花は何のことだかよく分からない。

「どういう意味?」

梨花が聞いてもヒロは笑ってるだけで答えなかった。

「本当にこのまま風間くんを縛るつもり?」

梨花にとって風間くんは最大のキープなんじゃない?」

「そんな事ない。」

梨花は風間が居なくなるのが怖い。

それを愛だと思ってる。

「梨花は変わったよね?」

「そうかな?」

「昔はすごく冷めてた。

誰かいればそれで良かったでしょ?

桐原さんとも割り切って付き合ってたのに…
風間くんと逢って…人に愛される事を知ったからなのか…愛に執着するようになった。」

梨花は愛など信じてなかったが
ヒロに言われて思った。

今、自分は風間に執着してるのだ。

「執着か…そうか…執着なんだね。」

「梨花、もし風間くんを選んだら桐原さんとはどうするつもり?」

梨花にとって桐原は自由にならない男だ。

風間はいくらでも縛れるが、桐原はいつ自分を捨てるかわからない。

「桐原さんのことはもう…愛したくないの。」

「だから風間くん?」

梨花は返事が出来なかった。




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