Spice‼︎
長谷川香織と話して梨花は少しだけ気持ちが軽くなった。

所詮愛なんて儚いのだ。

香織はその事が分かっているから
愛なんかよりお金という物質的な物を選んで生きてる。

どんなに愛してるって言ったって
風間には愛なんて目に見えないモノより
優先すべき物があるし、
梨花がもしこの先、桐原と暮したとしても
その儚い愛のせいでまた傷つく日が来るだろう。

それならヒロの様な男と生きていくほうがずっと楽だと思った。

「ヒロくん…寝るトコないならウチに来る?」

「え?いいの?」

ヒロは希と別れて部屋を解約し、
この狭い店の事務所で寝泊まりしている。

1人で暮らすには広かったし
希が居なくなった部屋に1人で居られるほど
まだ気持ちの整理はついてなかった。

「うん。部屋決まるまで泊まっていいよ。」

「桐原さんは来ないの?」

「わかんないけど…桐原さんと住む気は無いの。

あの人にとって多分私は抱きたい時に抱ければいいってだけだと思う。」

「じゃあ…たまに抱かれてはあげるワケ?」

梨花は笑みを浮かべるだけで返事をしなかった。

そしてその夜からヒロは梨花の部屋で暮らすことにした。

部屋に着くとヒロは後ろから梨花を抱きしめる。

「どうして俺なの?」

耳元でヒロが囁いて梨花の腕を背後に回した。

「ヒロくんが一番楽だから。」

「楽か…俺には嫉妬とかしないし…するなって事?」

ヒロがそう言って梨花の耳に舌を入れた。

梨花の口から甘い息が漏れる。

脱がせたブラウスで腕を縛られて自由を奪われたまま
ヒロの唇で口を塞がれる。

ヒロが身体のあらゆる部分に舌と指を滑らせて
梨花を征服する悦びに浸る。

衝動が抑えられなくなって梨花と奥深くまで繋がると
お互いの理性が失われていく。

その快楽が頂点に達すると
これだけあれば幸せかもしれないと思った。


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