Spice‼︎
愛されるという事
桐原は急に冷めた梨花の態度が気になったが
梨花はまだ風間との別れを受け入れられないのだと 思った。

軽い関係だった頃の梨花もそれはそれで悪くなかった。

呼べは来てくれるし
愛を絡めないsexでも問題なかった。

それなりに興奮するし、
自分の欲を満たせればそれで良いと思ってた。

自分はもともと冷めた人間だ。

出世することだけを目標に愛なんかに見向きもせず
女は利用するために居ると思っていた。

梨花とはじめた時だって本当に軽い気持ちだった。

若くて綺麗だと思ったし、
こんな子と遊べたらと思っただけだった。

思ったより簡単だったし
予想以上に身体の相性も良かった。

それでも何度も逢ううちに
情が湧いて可愛くなった。

張り詰めた戦場にいるような毎日だった桐原にとって
梨花と逢っている時間だけがリラックス出来る場所だった。

それでも梨花が
風間から社長の座を奪う道具になると気づいた時、
自分の気持ちに気付かずに
簡単に梨花を利用してしまった。

あの時は本当に自分が社長になることしか考えてなかった。

梨花を傷つけて初めて自分の胸が痛んだ事に気が付いた。

風間は自分とは全く違うタイプの男だ。

会社に興味がなく、
轢かれたレールの上を歩くのを嫌がった。

そして愛の為に全てを捨てられる男だった。

正直、ふざけんなと思った。

何もかも簡単に手に入る風間に嫉妬していた。

風間が梨花に夢中になればいいと思った。

しかし風間を陥れるつもりが
梨花はそんな風間に心を揺らし
愛されることを知って変わってしまった。

桐原はあの時、梨花に風間を近づけた事をずっと後悔していた。

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