Spice‼︎
過去との決別
このままでは梨花を失ってしまうと桐原は焦っていた。

自分は今まで何をして来たのだろう?

桐原は自分の生い立ちを呪った。

中学生に入ったばかりの頃、父親の会社が倒産して
桐原家は窮地に立たされた。

そのために一家は離散し、
桐原は母親と二人で生きることになった。

その後父親が自殺し、
2度と逢えなくなった。

そんな弱い父親を恨んで
自分は絶対に成り上がってやると誓った。

父親のようには絶対にならないと
必死で生きて来た。

死ぬほど勉強したし、
学費のためにバイトもした。

そして決して感情には流されまいと気持ちをコントロールする術を覚えた。

何でも出来て容姿もずば抜けていた桐原は女の子に異常なほどモテた。

学園祭でバンドのボーカルを頼まれて
ステージに立てば
巷では伝説になるほど客を集めたし、
バレンタインには持ちきれない程チョコレートを貰って
女の子には不自由しなかった。

芸能界からスカウトが来るほど人気があったが
桐原は自分の本来の目的を忘れてなかった。

芸能人になって有名になるのも一つの成り上がるための道ではあったが

桐原の目標は違っていた。

桐原は父の会社を容赦なく切り捨て
簡単に潰した大企業の社長の座を乗っ取るという
とてつもなく大きな目標を掲げていた。



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