Spice‼︎

桐原は高校生の時、
一人の女に目をつけた。

目標の会社の社長の孫娘である華菜だ。

自分と同じ年の華菜の通うお嬢様学校の近くのコンビニでバイトを始めた。

学校ではすぐにイケメンのコンビニ店員の話題が拡がった。

桐原はその学校の何人もの女生徒から告白された。

桐原は華菜に近付くワケでもなく、
ただ自分の強い印象を相手に与えるだけだった。

そして悪い噂が立たないように
その学校の女生徒とは決して遊んだりしなかった。

華菜が買い物に来る時には
良い印象を与える為、笑顔で対応した。

そうして何ヶ月か働いて、
華菜に顔と名前を覚えさせるとコンビニをやめた。

それから大学生になって
華菜のいるサークルを調べた。

華菜はお嬢様の通う女子大に入学し
学生ボランティアのサークルに入っていた。

桐原は同じサークルに入り
華菜にまた顔を売る。

そこでも決して華菜に話しかけたりしなかった。

しかしどこに居ても目立つ桐原はいつしか華菜の心に残った。

桐原が入った事でその環境ボランティアのサークルには各大学から女子大生が沢山集まった。

桐原はまたもサークルの女子大生とは決して付き合うことなく
華菜の前で真面目な頭のいい大学生を演じきった。

就職活動の時期が近付いて
桐原はサークルの仲間に華菜の祖父の会社の名を口にしていた。

あの会社に入るのが夢だと語った。

それは自然に華菜の耳に届いた。

華菜は自然に自分と桐原には縁があると思うようになった。

大学卒業後、桐原は言った通り華菜の祖父の会社に1番の成績で入社した。

華菜は就職はせず
ドイツに留学する事を決めていた。