Spice‼︎

2年の留学を終えた後、
華菜は父親から見合いの話を聞くことになる。

相手はあの桐原だった。

「優秀なヤツがいる。

お前と結婚させて会社を継がせたいと考えてる。

金持ちの家柄では無いがなかなかいい男で
とにかくかなり優秀な男だ。」

桐原は専務に気に入られ、
うまく華菜と縁を結ぶ所まで来た。

華菜はやはり桐原は運命の相手だと思った。

学生の頃からヒーロー的存在で
みんなの憧れだった桐原が自分のモノになるのだと
天にも昇る心地だった。

お見合いは二人きりで指定された公園内のレストランで会った。

華菜は桐原が高校生の頃、近くのコンビニでバイトしていたことや、
同じサークルに所属していたことなどを話した。

桐原は最初から華菜を目的に働いていたことや
サークルに入会していたことも隠して
まるで運命だったみたいに驚いたフリをした。

二人の結婚はトントン拍子に進んだ。

そして少しの間、お互いを知るために交際をした後、
桐原は２７の時に華菜と結婚することになった。

華菜は結婚してから桐原の本当の姿を知ることになった。

自分に愛情など決して持たないこと。

出世のために生きているということ。

自分とは運命ではなく、最初からこの結婚の為に近づいたこと。

そして華菜はいつの日か桐原との幸せな未来を諦めた。

華菜は離婚も切り出せず、それに堪えるしかなかった。

娘が幸せでない事を専務である父が気づいたのは
それから暫くしてだった。

一人娘を出世のために選んだ桐原の本心を知って
専務は桐原に辛く当たるようになった。

華菜の父である専務自身も社長の娘と出世の為に結婚し、
桐原はまるで昔の自分を見ている様だったが
自分よりも優秀で社長のお気に入りとなった桐原に対して嫉妬という感情が生まれ始める。

社長は何かと桐原に目をかけ、
専務を無能扱いした。

桐原の出現で社長と専務の関係は更に悪くなった。

専務は娘の華菜と桐原を別れさせたかったが
社長が許すハズがなかった。