Spice‼︎
桐原はその夜、梨花を自分の部屋に連れて行った。

ヒロは桐原に任せた方が良いと思って
梨花を送り出した。

所詮梨花とは友達止まりだ。

桐原や風間のように愛されることは無い。

自分の中の希もまだ完全には消えていない。

梨花とはsexありの同居人だけど…結局梨花にとってそれ以上にはなり得なかった。

桐原は連れて帰った梨花に部屋の片づけを命じた。

「心が辛い時は身体動かした方がいい。

だからこの部屋を綺麗にしてくれ。」

梨花は呆れてモノも言えないと思ったが
黙々と部屋を片づけ始める。

「何があったか聞かないんですか?」

「話したきゃ話せばいい。」

桐原は梨花が部屋を片付ける姿をビールを飲みながら黙って見ている。

「手伝おうとか思わないの?自分の部屋でしょ?」

聞こえるように言う嫌味な独り言も
今の桐原には心地よかった。

梨花がそこに居てくれるだけで幸せだった。

「掃除機は明日でいい。

今日は遅いから…近所迷惑だろ?」

「明日も来ると思ってます?」

「泊まってくだろ?」

梨花は首を横に振ってバッグを持った。

「帰すと思うか?」

桐原が梨花の腕を掴んで抱きしめる。

「泊まってけ。」

梨花が腕を振りほどくと
桐原はもう一度その腕を掴んで言った。

「泊まってけよ。」




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