Spice‼︎
梨花は桐原と一泊して観光もせずに湯河原温泉から帰ってきた。
桐原はその日、大事な約束があって
仕事を休むわけには行かず
午後から出社した。
梨花が部屋に戻ると起きたばかりのヒロが部屋にいた。
「どこか行ってたの?」
「うん。湯河原温泉。」
「湯河原?」
「うん。」
「どうだった?」
「いい温泉だった。」
「ふうん。メシ作るけど食べる?」
「何作るの?」
「ラーメン。」
「ヒロくん、朝ごはんでしょ?」
「何か食べたくなって。」
「ふうん。」
何でもない会話だが、ヒロは元気になって帰ってきた梨花に安心し、
梨花は何も聞かないヒロに感謝した。
この生活はとても楽だけど…
梨花は桐原との未来を考え始めている。
もし子供を授かったら、
桐原と暮らしていけるのだろうか?などと期待してしまう。
「梨花…器出して。」
「あ、うん。」
梨花はラーメンをいれる食器を棚から出して並べた。
ふと、この器を風間と買いに行った事を思い出した。
そして桐原との未来が風間に掻き消されていった。
「梨花、早く食べないと伸びるよ。」
梨花はヒロの声で我に返ってラーメンを食べ始める。
そのとき梨花の電話が鳴った。
「もしもし、梨花さん?
風間です。」
今の梨花は風間の声を聞くだけで切なくなってしまう。
「あ、うん。」
「多村課長は明日から川崎の営業所に異動になりました。」
「そう…ですか…ありがとうございます。」
「少し出てこれますか?今、梨花さんの家の前です。」
「あ、うん。」
梨花が部屋を出ると、マンションの入り口に
風間が立って待っていた。
桐原はその日、大事な約束があって
仕事を休むわけには行かず
午後から出社した。
梨花が部屋に戻ると起きたばかりのヒロが部屋にいた。
「どこか行ってたの?」
「うん。湯河原温泉。」
「湯河原?」
「うん。」
「どうだった?」
「いい温泉だった。」
「ふうん。メシ作るけど食べる?」
「何作るの?」
「ラーメン。」
「ヒロくん、朝ごはんでしょ?」
「何か食べたくなって。」
「ふうん。」
何でもない会話だが、ヒロは元気になって帰ってきた梨花に安心し、
梨花は何も聞かないヒロに感謝した。
この生活はとても楽だけど…
梨花は桐原との未来を考え始めている。
もし子供を授かったら、
桐原と暮らしていけるのだろうか?などと期待してしまう。
「梨花…器出して。」
「あ、うん。」
梨花はラーメンをいれる食器を棚から出して並べた。
ふと、この器を風間と買いに行った事を思い出した。
そして桐原との未来が風間に掻き消されていった。
「梨花、早く食べないと伸びるよ。」
梨花はヒロの声で我に返ってラーメンを食べ始める。
そのとき梨花の電話が鳴った。
「もしもし、梨花さん?
風間です。」
今の梨花は風間の声を聞くだけで切なくなってしまう。
「あ、うん。」
「多村課長は明日から川崎の営業所に異動になりました。」
「そう…ですか…ありがとうございます。」
「少し出てこれますか?今、梨花さんの家の前です。」
「あ、うん。」
梨花が部屋を出ると、マンションの入り口に
風間が立って待っていた。