Spice‼︎
風間の母は社長秘書だった。

社長に手をつけられ、関係を続けるうちに風間を身篭ってしまった。

風間の存在は社長一家には受け入れられず
高額の養育費は援助してくれたが
戸籍には入れてもらえなかった。

風間は高校生まで母と二人で暮らしていた。

社長はもともと本妻との間に女児一人しかいなかった。

現在の専務、つまり桐原の舅は社長の娘婿だが
社長とは上手くいってないようで
いつしか社長は実の息子である風間に跡を継がせたいと思うようになった。

しかし風間は会社に入るのを嫌がった。

ところが風間の母親が重たい病気にかかった。

難しい手術を受ける医者はなかなか見つからず
費用もかさんで
風間は父親に助けを求めた。

そして母親を助けるのを条件に会社に入った。

もう一つの条件が投資会社の社長の娘との婚姻だった。

「それで去年入社して来たんだ。

専務はああいう人だから風間も厳しいだろうな。

義兄といっても親子ほど年が離れてるしな。

風間はまだ社長の孫って言ってもおかしくないような年だ。」

梨花は風間の事を何も知らなかった。

何となく風間に逢いたくなってしまった。

「梨花、アイツに本気だっただろ?」

「桐原課長のことも本気ですけど。」

「俺が言うのも何だけど…別れて大丈夫なのか?」

「大丈夫ですよ。…大丈夫です。」

ホントは大丈夫なんかじゃ無かった。

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