Spice‼︎
「あの日、お前は最終日に梨花に会いに行ったろ?」

「そうですね。」

「あれは作戦か?

1週間俺に放っておかれた梨花は痺れを切らしてた。

だから一番落ちやすい日だった。」

「偶然ですよ。僕はそれほど策士ではありません。」

「じゃあ、あのキスマークは?」

「あれは桐原さんへのメッセージです。

梨花さんは僕のモノになったって。」

「お前は手強いよな。

梨花はすっかりお前に骨抜きにされてる。

俺が嫉妬するくらいに…」

「とにかく助かりました。

梨花さんを説得してくれて…おかげでまた戻ってきてくれた。」

「お前の為じゃない。梨花の為だよ。」

「僕たちがこうして会ってる事、梨花さんが知ったら怒るかな?」

「怒られるのは俺だろ。

好きな女に他の男を充てがう男なんてそう居ないだろうしな。

でもどうするつもりだ?

まさかお前が社長の息子とは思わなかったからな。

いずれお前もあのお嬢様と結婚させられるだろうし。」

「考えたら僕は桐原さんの義理の叔父ってことになりますね。」

「俺より10も年下だけどな。」

「梨花さんとは別れませんよ。

僕はお父さんの望んでる結婚はしませんから。」

そして風間の電話が鳴る。

「梨花か?」

桐原が聞くと風間は頷いて電話に出る。

「梨花さん?どこ?」

「風間くんちに居る。何時に帰る?」

「もう帰りますよ。待っててくださいね。

何か欲しいものはありますか?」

「風間くん…風間くんが欲しい。」

風間はその言葉でまた梨花に心を鷲掴みにされる。

「わかりました。」

風間は電話を切ると

「すいません。梨花さんが呼んでるんで帰ります。」

と席を立った。

桐原は一人残された部屋で少し飲んだ。




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