Spice‼︎
「お前の噂を聞いたんだが…

女性問題を起こしてるな？」

風間は茉美の仕業だとわかった。

本部長に泣きついたんだろう。

「坂下部長の娘とは結婚しないって言ってたのにまだ付き合ってたのか？

お前が他の女とも付き合ってるって報告があった。

遊びも大概にしないと面倒になるぞ。

特に坂下部長は娘がお前と結婚するって触れ回ってるじゃないか。

どういうつもりなんだ？」

余計なことを言う奴がいて風間は不機嫌になる。

「社長…いえ、プライベートな話だからお父さんでいいですよね？

坂下さんのお嬢さんとは食事をするくらいです。

確かに付き合って欲しいと言われて承諾しましたが…
昨日、別れました。

私には他に好きな女性がいます。」

社長である父親は眉間に皺を寄せ不快な顔をする。

「わかってるだろうと思うが…お前には上條さんのお嬢さんと結婚してもらう。」

「嫌です。

そちらは承諾してません。

母を助けてくれたのは感謝してますが
会社に入っただけで充分じゃないですか？」

父親はテーブルのファイルを机に叩きつけ
凄い音がした。

風間は顔色ひとつ変えず父を睨んでいる。

「母を一時でも愛したのなら、
この先も母を助けてくれると信じてます。」

「くだらない。愛などつまらない言葉を口にするな。」

「結婚は嫌です。」

「その女がどうなってもいいのか？」

風間の顔色が変わる。

「その女が好きなら結婚だけして
その後で遊ぶなり、囲うなり、好きにすればいい。」

それが風間の父親だった。

「僕はお父さんみたいな男にはなりたくありません。」

風間は席を立ち、社長室を後にした。

父親は秘書の武田を呼んだ。

「健斗と付き合ってる女が誰か調べてくれ。」

「かしこまりました。」

そして梨花に程なくして辞令がおりた。

ー商品管理部第４課へ異動を命ずる。ー




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