Spice‼︎
ホントは帰っても誰も居ない。

風間はあれから毎日社長の家に行って説得を続けてたが何も変わらなかった。

梨花はもう潮時だと思ってる。

桐原から誘われても逢いに行かなかった。

桐原にまで迷惑かけたくないからだ。

土方と寝たのは桐原と風間に逢えず
胸に空いた穴を埋めて欲しかったからだ。

深夜、別れて間もない土方が酔って電話をかけて来た。

「梨花…やり直さないか?

やっぱりお前のこと忘れられない。

結婚しなかったのも…お前のせいだよ。

フラれた時はさすがに頭に来たけど…
ホントはずっと逢いたかった。

幸せなら諦めるつもりだったけど…

お前は俺と寝るほど寂しかった。

なぁ、違うか?」

梨花は何も答えなかった。

「梨花…今から行こうか?

社長の息子なんてもう居ないんだろ?」

「ダメ。来ないで。」

「行くよ。」

そして40分後、深夜2時近くに土方が部屋の前まで来た。

梨花はドアを開けなかった。

土方と寝た事を後悔した。

このまま流されそうで怖かった。

風間に逢いたかった。

土方がドアの前で粘って
梨花は泣きながら風間に電話する。

「風間くん…助けて…」

「梨花さん、どうしたの?」

「寂しくて…どうにかなりそう。」

それでももう会うことは出来なかった。

「もう…止める。風間くんを…忘れたいの。」

「梨花さん、待って。すぐ行くから。」

「来ないで…来たら傷つくから。」

「梨花さん?」

「これから他の男のモノになるから…」

梨花が電話を切って、風間は部屋を飛び出した。

そして梨花はドアを開けた。
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