Spice‼︎

「梨花さん！」

ベッドの上で泣いてる梨花を抱きしめる男を見て
風間の胸に強い痛みと共に怒りがこみ上げてきた。

風間がいきなり土方を殴って
梨花から引き離した。

「梨花さんに触るな！」

土方は呆れた顔で風間を見た。

「お前が社長の隠し子か？

ったく息子だか跡継ぎだか知らねーが
梨花だけあんなとこに閉じ込めておいて
ふざけるなよ？

父親に頭が上がらないクセに。

お前になんかに梨花が守れるか！」

土方が起き上がり殴り返そうとするのを梨花が腕を掴んで止めた。

風間は相手が誰か確かめもせず、いきなり殴ってしまった。

ようやくまともにその顔を見る。

相手が部は違えど上司だと知って、風間はかなり驚いた。

「もしかして…か、海外事業部の土方次長ですか？
どうしてここに？」

「知らないのか？5年前まで俺が梨花の男だったんだ。」

「とりあえず落ち着いてくれない？」

梨花に促され、2人はソファーに座った。

「どうするつもりだよ？
このまま梨花を倉庫で働かせるのか？」

梨花は3人になるとどうしていいかわからず
ベランダにタバコを吸いに行った。

落ち着いた土方と並ぶ風間を見て
子供みたいだと思ってしまう。

今の風間は分別もなくて突き進むだけが愛だと信じてる。

時には引くことも必要だが、
それが出来るほど大人でもない。

土方はそれができる男で
梨花はそんな土方だから2年も側に居られた。

「梨花さん、僕と遠くに行きましょう。

何をしてでも梨花さんを幸せにします。」

そんな浅はかな風間の提案を土方は鼻で笑った。