Spice‼︎
風間は朝まで梨花のベッドで眠った。

「帰したくないな。」

梨花は風間の髪を撫でてそう言った。

風間もそれは同じで

「帰りたくないです。」

と言って梨花と唇を重ねる。

それでも別れの時間が来て風間が帰ると
梨花は自分の裸をもう一度、鏡に写した。

風間に付けられた痕がクッキリと赤く残っている。

梨花はそれに触れて愛されたことを実感する。

そして梨花自身も風間を愛してることに気付く。

梨花は自分のココロに蓋をして
そしていつも通り仕事に出かけた。

会社に行くと土方が待っていた。

「どうだった?アイツと上手くいった?」

「涼、お願いがある。」

「何だよ?」

梨花は俯いて迷いながらも決意を固める。

「私とやり直して。

フリだけでいいから。」

梨花は今朝、もう風間とも
桐原とも逢わないと決めた。

「あいつはどうすんだよ?」

「私が居たら、風間くんは何もかも捨てちゃう。

親も仕事も捨てちゃうと思う。」

土方は少し考えて答えた。

「やり直すのには賛成だけど
そう決めたら、後には引かない。

フリだけなんて出来ねーし、
お前を幸せにする。

それでもいいか?」

愛することを諦められるならそれでもいいと思った。

「うん。」

「お前を束縛するかもしれない。それでも?」

「うん。」

梨花は守るものがハッキリした。

守るのは自分じゃない。

桐原と風間の生活だ。

それがどんなに辛い結果を招いても
梨花の決心は変わらない。

今はただあの2人から離れるべきだと思った。

土方は新しいプロジェクトを任されていた。

そしてその仕事をサポートする人材を集めていた。

土方がその中に梨花を入れたことで
梨花が土方と寄りを戻したいう噂が広まった。

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