Spice‼︎
その頃、梨花は桐原に呼び出されていた。

桐原と初めてホテルで待ち合わせた。

少し離れた駅の前にある安いビジネスホテルで
梨花は電車を乗り継いでその場所に辿り着いた。

「来たな。」

すでに桐原は部屋で待っていた。

「遠かった。」

「今のお前に他の男とのスキャンダルはかなりマズイだろうしな。
場所は選ばないとな。」

梨花は冷蔵庫からビールを一本出すと
窓辺に座った。

「ご自分が心配なんじゃなくて?」

「もちろんそれもあるけどな。」

それでも桐原はいつもと変わらず軽く答え、
そして悪いことをしてるのになぜか堂々としている。

梨花がビールを開け、一口飲むと
狭苦しいこの部屋を興味深く見回した。

部屋にはシングルベッドが2つあるだけで
あとは小さなテーブルと椅子があり、
鏡台を兼ねたデスクがある。

「ここはsexする部屋じゃないな。」

と桐原は笑った。

「じゃあ何します?」

梨花の組んだ脚に引き寄せられるように
桐原は梨花に近づき
その脚を下から上まで撫でる。

「sexする場所じゃない所でsexするのが好きだろ?」

そう言って梨花の脚にキスをする。

梨花から甘い吐息が漏れる。

「会社クビだって?」

桐原は梨花のブラウスのボタンを外しながら
その話を始めた。

「紹介してくれる所はもっと条件いいらしいですよ。」

「へぇ。」

そして開けた梨花の胸に舌を落とす。

「でも…そこには行きませんけど…」

梨花が桐原の頭を抱え、その髪にキスをする。

桐原は顔を上げて梨花を見た。

「行かないでどうする気だ?」

「転職しますよ。
風間くんのお父さんとは関係ないところに。」

「へぇ。強いな。」

桐原は他人事のように答え、
また梨花のカラダに舌を落とした。


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