Spice‼︎
「風間健斗…アイツは藤城さんにベタ惚れらしいな?

まずいよなぁ。アイツは女で道を誤るタイプだよな。」

土方は風間と梨花のことを思うと胸が痛んだ。

「でもアイツが社長になる可能性はありますよ。」

そう言うと桐原は笑った。

「そうかもな。何しろ社長の息子だからな。

ここでは有り得るかも知れないよな。

今時世襲制なんてこんな大企業であり得ないと思わないか?

それに…アイツ自身も社長になることなんて望んでない。

例の藤城さんと心中でもする覚悟だよ。」

土方はそれを聞いて不安になる。

「梨花は男のために死ぬほど馬鹿じゃありません。」

明らかに動揺してる土方を見て桐原はもっと煽ってみる。

「でも…まんざらそうでも無いような。

藤城梨花も実は風間にゾッコンなんだろ?

だから、会社に戻らないんだろ?」

「桐原さん…あの二人のこと何か知ってるんですか?」

「いや。」

桐原は笑って空を見上げてる。

「許せないよなぁ…。
あんないい女と会社を独り占めなんて。」

「え?」

土方は自分の耳を疑って聞き返したが
桐原はそのまま土方の肩をポンと叩いて階段を降りていった。

このまま会社を辞めたら梨花は2度と自分の元へは帰ってこないと土方は思った。

そして桐原の胸の内も穏やかではなかった。

梨花が風間の為に会社に復帰しないつもりだと知ると
気分が良くないし、落ち着いて居られなくなった。

「梨花、何してた?」

梨花に電話をかけると梨花は掠れた声で電話に出た。

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