Spice‼︎
何度もキスしてるうち
ヒロが愛しくなってくる。

「梨花さん…」

耳元で名前を呼ばれると切なくなる。

「ヒロくん…帰らないで。」

梨花は堪らずにヒロを自分から誘う。

「いいですよ。今夜はそばにいます。ずっと…」

ヒロはもう一度キスをして梨花の身体に触れる。

そして梨花はヒロにその身体を開く。

その時、インターフォンが突然鳴って
梨花もヒロも動きを止めてお互いの顔を見る。

梨花はベッドから身体を起こしてカメラを見ると
桐原が立っていた。

「ウソ?」

ヒロは心配そうに梨花に聞いた。

「誰が来たんですか?」

梨花が答えないのでヒロもベッドから起き上がって相手が誰かを確かめる。

「あ、彼氏さんですね?どうしますか?

窓から逃げますか?

それともクローゼットに隠れます?」

梨花は笑って

「大丈夫。」

と言った。

ヒロは梨花の外したボタンを留めながら

「大丈夫ですか?」

と聞き返す。

「うん、大丈夫。」

梨花がドアを開けると桐原が玄関にある大きな男物の靴にすぐに気がついた。

「お楽しみ中だったみたいだな?」

「次長が来てくれないから。」

「だから今、来たろ?」

そう言いながら部屋に入ってくると
ヒロの顔を見て少しビックリしている。

「あれ、バーテンさん?」

「今晩は。」

ベッドの上で正座して挨拶するヒロを見て
梨花はなぜか笑ってしまった。

「お店でね、絡まれてるところを助けてもらって送ってくれたの。」

「そのお礼に部屋に上げて何しようってか?」

桐原は笑ってそう言った。

「別にお礼で上がってもらったわけじゃないですよ。」

梨花が膨れた顔でそう言うと
桐原はヒロの目の前で梨花にキスをする。

ヒロは目の前でキスしてるのを見て

「じゃあ俺、帰りますね。」

とジャケットをとって帰ろうとすると
桐原がヒロを止めた。

「今夜は梨花の側に居てやってもらえませんか?」

「え?」

梨花も桐原がどうしてヒロを引き止めたのか
梨花の事をどうしたいのかワケがわからなかった。

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