ずっと、そばにいたのに。
「えっ、誰が運転するの!?」
「お前は何を言ってるの?」
「えっ、コウちゃん車の免許取ったのは知ってたけど、運転できるの!?」
「お前は何を言ってるの?」
「すごい! すごい死にたくない!」
「180キロ出そー」
「ごめんなさい!」
謝ったその直後、エンジン音がして、ゆっくりと車が動き出した。
一年前にコウちゃんが免許を取ったのは知っていたけど、初めてコウちゃんが運転している所を見た。
どうやら家族同伴でこそこそ運転の練習をしていたらしく、だいぶ慣れたから最近は一人で運転し始めたのだとか。
ハンドルを握る手とか、バックミラーを見るまなざしとか、信号待ちでハンドルに顎を乗っける仕草とか、もうすべてが新鮮で、ドキドキしてしまった。
なんだかコウちゃんが、すごく大人っぽく見えてしまった。