ずっと、そばにいたのに。
「……コウちゃんさあ、昔、私がいじめられそうになったとき、助けてくれたよねえー」
「あー?」
「私、小さいとき、耳は悪くないのに、なぜか人の言葉を聞き取ることが苦手でさ、何回も聞き返してたら、友達に凄くうざがられちゃって、無視されて、泣いてたの覚えてる?」
「あったっけなー、そんなの」
「あったよー。そしたらね、コウちゃん、マメは帰国子女なんだ、だから一回で上手く聞き取れないんだ。もしお前らの母ちゃんが年取って耳悪くなったら、お前らは母ちゃん無視すんのか? って言ったんだよ」
「そんなでたらめ言ったのか俺、天才だな」
「私生まれも育ちも日本なんですけどねぇ……」
「今もお前のこと帰国子女って思ってるやついそうだな」
「あとはね、私が中3の頃、クラスメイトに告白されて、断ったらなぜか逆切れされて、何度も『生きるの嫌になった』とか『死にたい』ってメール送られてきたときも」
「そんな物好きメンヘラもいたなあ」
「そのこと知ったコウちゃん凄く怒っちゃって、朝その男子の教室行って胸ぐら掴んで、ふられたくらいで死ぬとか言われた方の身にもなってみろ!、マメがどんだけ怖い思いしたと思ってんだ!って、怒鳴ってくれたよね」
「お前あのときなんですぐ俺に言わなかったんだよ」