ずっと、そばにいたのに。
言われるがままに鍵を開けた。
ゆっくりと重たい扉が開いて、冷たい外気が入り込んで、思わず寒さで一瞬目を閉じた。
……目を閉じた、その時だった。
コウちゃんの香りが、冷たい風と一緒に運ばれて、ふわっと鼻孔をくすぐった。
「え……」
――目を丸くして見上げてしまった。
そこには、息を切らした様子のコウちゃんが、いた。
「……マメ、帰んぞ」
「は……」
状況が全く把握できなくて、玲子さんに助けを求めると、玲子さんはニコニコ笑ってた。
「コウ、ちゃんと大事にしなさいよ」
「……玲子も、ちゃんと大事にされろよな」
「ふふ」
「……また帰ってきたら、4人で遊ぼう」
「うん、喜んで」
「じゃあ、また」
「うん、またね」