ずっと、そばにいたのに。
――何が、起きているのか。
全く分からなかった。
コウちゃんが、私の手を引いて、どんどん歩いていく。
コウちゃんの手、凄く冷たくて、
靴も踵潰してるし、コートの下に着てる服超適当だし、寝癖だってそのままだし、
どうしたの? 何をそんなに急いで来たの?
桜並木まで引っ張られて、私はついに口火を切った。
「ねぇ、コウちゃん、どうしてあそこにいるって分かったの?」
コウちゃんの顔が、見えない。
ねぇ、今どんな表情をしているの?
「……玲子から連絡が来た。迎えに来いって」
「な、なんでそんな……玲子さん……」