ずっと、そばにいたのに。


「コウちゃんは乙女心がわかってないっ」

「付き合ってから、マメしょっちゅうそれ言うよな」

「だってほんとだもん、言いたくないよ私だってほんとは……」


俺が面倒くさそうにしてると思ったのか、マメの言葉がどんどん弱弱しくなっていく。

彼女のバッグの中に、おそらく俺に用意していたであろうチョコの箱がチラッと見えて、胸がちょっとだけ切なくなった。

どうにかあのチョコを貰いたいけど、マメ自身が自分を追い込んで、渡すタイミングを失ってしまっているんだろう。

ここは年上の俺がどうにかいい方向にもっていってあげたいところだけど、マメは拗ねると長いからな……。

一回お昼寝させて時間置くのが一番有効的な気もするけど、その手を使いすぎて最近怒られたばっかりだしな……。


あー、そんなことより、頬膨らませてるマメって、なんでこんなに可愛いんだろうか。指で突っついて空気抜いてやりたい。

本人は怒っているつもりなんだろうけど、俺にとってその姿さえも癒しであること、気づいてんのかな。

< 93 / 96 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop