ずっと、そばにいたのに。
「マメ、あのチョコくんないの?」
マメが見知らぬ女の子からもらったというチョコを受け取り棚の上に置いてから、俺はマメのバッグを指さして言った。
まだ拗ねている様子なので、後ろから抱きしめると、マメは何かと葛藤するようなそぶりを見せてから呟く。
「あ、あげるない…」
「どっちだよ」
「さっきあげないって言っちゃったからあげづらい」
「前言撤回大歓迎ですけどー」
後ろからマメの顔を覗き込むと、マメはどうしたらいいのか分からないという顔をしていた。
俺はそんなマメの肩に頬を乗せて、困ったような声で嘆いた。
「こーんなに甘やかしてんのに、何が不満なんですかね、マメお嬢さんは」
「こ、コウちゃんには、なんの不満もない……」
「うん?」
「妹なのかって言われるたびに、コウちゃんに申し訳ない気持ちになるの。子供っぽい彼女って、きっと嫌だろうなって……」
なんだ、そんなしょうもないことで悩んでいたのか。
俺にとってマメはこんなに愛しくて仕方ない存在だというのに。
わがまま言われたって小さなことで拗ねられたって、なんにも気にしないくらい甘やかしてるのに。