【短編】私の彼氏は宇宙一ずるいんです。
「……教室覗いたら、あいつと超顔近いし。
俺にはろくに触らせてくれないのに、あいつとはほとんど抱き合ってるってくらい近かったし」
まあ、だから俺も離さないけど、と腕に力を込めるかずくんの囁きに、真剣な話の途中なのに頬が火照る。
「だからさ。もしかしたら、もしかしたら……あきは、あいつにあげる予定で、俺にはチョコくれないんじゃないかと思ったんだよ。
……ただの、焼きもち。ごめん」
「やっ、き……も……!」
小さな声でそう言ってぎゅうっと私を抱き締めるかずくんが可愛すぎて、私はろくに人語を話すこともままならない。
頭が熱でショート寸前だったけど、私はその『焼きもち』というワードに嫌なことを思い出した。
「ねぇ、かずくん」
若干冷たさを含んだ私の声にかずくんがそっと私の体を離す。心当たりがあるのか無いのか、顔が強ばっている。
「……なに?」
「そういうかずくんもさっ!杏奈ちゃん、だっけ。
……もらったの?チョコ。」
そう言っているうちに恥ずかしさがこみ上げてきて私はふいっと顔を逸らした。
するとかずくんは慌てたように口をぱくぱくして軽く手を振って、ええっと、とかなんとか零している。