【短編】私の彼氏は宇宙一ずるいんです。
「……まあ、結論から言うと、貰ってない。
俺、あきの以外欲しくないし。」
「そ、そっか。それなら、いいんだけどね?」
「あと、それも……ごめん。朝貰えなかったんで、ちょっと意地悪した」
「う、もーっ、かずくん!やっぱり気づいててわざとだったんだね〜!」
黙って聞いてれば、まったく!
かずくんを軽くグーに握った手でぽか、とやると、かずくんは何が可笑しかったのか、ぶっ、と吹き出した。
「な、なにかずくん!」
「だってさぁ……っ、俺ら結局お互い勝手に妄想して……やきもち焼いてたんだーって考えたら、はは、可笑しくね?」
合間合間にも笑いを挟むかずくん。
私はしばらく頬を膨らましてそれを見ていたけれど、なんだかその様子を見ていると可愛いやら面白いやらで、私もぶっと吹き出して、お腹を抱えてしまった。
もう光が薄れ始めた教室に、高低2人分の笑い声が重なって、反響する。
でも。どちらともなく段々笑いが収まって、顔を見合わせた時には、ギャップのせいだろうか、不思議なほどかずくんの顔は真剣だった。
「ねぇ、あき。
……もうこんなこと無いように、マーキングしてもい?」
そう言って、顔を近づけてくる。
私はぼんやりとそれが何を意味するのかを察しながらも、すっとぼけた。