【短編】私の彼氏は宇宙一ずるいんです。
その拍子に肩にかけた紙袋が存在を示すようにくしゃっと軽く音を立てた。
不発です。思いっきり……不発です。
それどころかもの凄いカウンターをいただきました。
「なんだよ、そんなに嫌がらなくても……」
そんな声にはっとして顔を戻すと、彼氏くんはふてくされたように私から顔を背けてマフラーを口元まで引き上げていて。
「い、嫌とかそんなわけじゃ!」
ぶんぶんっ、と激しく両手を振ると、彼氏くんはふはっと苦笑した。
そして私の頭にぽんっと大きな手を乗せて、気まずさをごまかすようにくしゃくしゃっと私の髪の毛をかき混ぜる。
「まあ、いいよ。まだ付き合って2ヶ月くらいだもんな、俺ら。……悪かった」
そうしてすぐにぱっと手を離すと、私が何か言う前に歩き出してしまう。
私はまだ彼氏くんの暖かさが残っている頭に手をやって項垂れた。
「……う〜」
自分の不甲斐なさに唸ってみても、何も変わらない。
いつもいつもこうだ。彼氏くんは私と距離を少しずつ詰めようとしてくれているのに、私はそれを全部拒否してしまう。
2ヶ月。もう2ヶ月も経つのに、私は手も繋げない。
それどころか……
恥ずかしくて、名前すら……呼べないのです。