【短編】私の彼氏は宇宙一ずるいんです。
「―――だからね、今日……チョコを……渡そうと思ってるの!」
登校した後、後ろの席を振り返りながらそう言って拳を突き上げると、べしっと頭をはたかれた。
「痛いっ、なにするの、花!」
割と本気で叩かれたため涙目で恨みがましく相手を睨むと、はあーっとため息をつかれた。
「あのねぇ、渡そうと思ってるの!じゃないでしょ。
それ以前にあんたは色々改善すべきところがある!」
びしっ!と指を差されてしまえば、心当たりがあり過ぎて私は何も言い返せずにうっと言葉に詰まる。
私の親友―――花はそんな私に諭すように言葉を続けた。
「毎朝迎えに来てくれる彼氏なんて今時なかなかいないよ?
それに2ヶ月も経っててあんたみたいな感じだったら、ふつーは呆れられて捨てられるか、もしくは無理矢理迫ってくるかだって」
オブラートに包むつもりも無さそうにあっけらかんと言い放つ花に、ぎょっと目を向く。
「かっ、……は、そんなことしないよ!」
がたっと机を押して立ち上がってみせれば、そんな私を肘をついて見上げながら、花は再びため息をついた。