【短編】私の彼氏は宇宙一ずるいんです。
「……あんた、本当に名前呼べないのね……」
その哀れみを含んだ声に私は身悶えする。
「わかってる!わかってるの!でもね、目の前にいるいないに関わらずね、か……くんの名前を呼ぶって思うとすっごく恥ずかしくて!」
あああ、やっぱり無理!
自分でも自分に腹が立つけど!
うわぁ、と机に頭をぶつけた私の背中に、花がぽんと手を乗せた。
「まあ……それだけ好きってことなのかねぇ」
そう、大好きなんです。
……ちなみに本人に言ったことはありません。ほんと私……おばか!
「でも、それ言わなきゃ伝わんないでしょ」
なだめるような仕草で背中をリズミカルに叩いていた花の口調が厳しさを帯びる。
そうして爆弾を落とした。
「今日はバレンタインだし?もしかしたら彼氏クン狙ってる子もいるかもしんないよ?」
その言葉に私はぴくっ、と伏せていた顔を上げる。
「あんたたちが何の発展もないっぽいのは、あんた見てればそれだけでよゆーでわかるし」
「う……」
そうだよね、私でもそう思います……っ