ある日、ビルの中、王子様に囚われました。
一生遊んで暮らせる額にピンと来なくて考えるが想像できない。
「というか、お祖父さんが早く良くなって、財産で争った時間が取り越し苦労に終わるといいですよね」
「……」
また天宮さんは眉をしかめて黙ってしまった。
私の発言がお気に召さなかったのかもしれないけど、なんて言うんだろう。
黙って悩ましげに目尻を押さえる姿も、絵になるなあ。
「まあ現状については、もう少し順を追って説明することにします。ここに居てくれるなら急ぐ必要はないので」
眼鏡を人差し指であげたあと、私をまじまじと見つめてきた。
途端に、この人には何も隠しごとができないんじゃないだろうか、見透かされた感じがして居心地が悪くなった。
なんて言うんだろう。
動揺してしまうぐらい、鋭いけど真っ直ぐな眼差しで……怖くないのに胸が熱くなる。
「あ、あの、私はこのホテルに大体どれぐらいいるんでしょうか? 会社に有休とかとらなきゃなんですが」
「其方は、明良がなんとかするから気にしなくていいです」
「でもどれぐらい、とか」