ある日、ビルの中、王子様に囚われました。

「……じゃあ今とあまり状況が変わらないじゃないですか。移動分交通費が勿体ないですよね」

「君がそう思うなら、俺の熱意がまた足りなかったと思うことにするよ」

笑顔で交わされたけれど、ホテルが安全だと言ってたのは天宮さんなのに。


食後に出された、一口大の大きさの最中は、マカロンのように色鮮やかで可愛くて、これまた食べるのが勿体なかった。

「さて、食べ終わったら部屋まで送りましょう」
「あの、ここの御食事代!」
「もう払っていますので」

いつの間に。
そんな素振り全く気付かなかった。
もしかしてデザートを頼む時に?

「仕事が終わったら、上のレストランで一緒に食事しましょう」
「食事? その、食事の前にですね」
今ランチを食べ終わったのに、もう夜ごはんの事まで決めているの?
お礼を言う暇もないぐらいポンポンと決められていくのでちょっとだけ困る。
「天宮さん、あのありがとうございます」
「いえ。まずは餌付けからと思ったので。効果はありそうですし」
「……」

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