ある日、ビルの中、王子様に囚われました。
息を切らして現れたのは、先ほど別れたばかりの天宮さんだ。
「わ、私は大丈夫ですっ」
「だから明良って言っただろ?」
「明良に来襲してきたとなれば、次は彼女だろ」
続いて現れた新澤さんを睨みつつ、私の肩を抱いて更に引き寄せてきた。
「おーい。一応、兄の前で妹にベタベタしないでくれるか?」
苦笑しつつも目が全く笑っていないお兄ちゃんを見ることなく、天宮さんは社長室の扉を閉めた。
「とりあえず、会議にこの三人が抜けるのは不味いので新澤、戻って」
「また俺ですか」
不満たらたらな発言だったけど、新澤さんも同じ意見なのかさっさと戻っていく。
「二人に悪いですが、ご両親は暴れたために器物破損、事務の中に入ろうとした不法侵入で警察の方に引き取って頂きました」
「すまん」
「……ごめんなさい」
「いえ。ですが今日は社長との面会は遠慮してホテルへ戻りましょう。明良はまだ此処で休んで具合が悪くなったら一応病院へ」
「分かった」
天宮さんはテキパキと言いはなった後、黒岩さんにお兄ちゃんを頼んでオフィスを出た。