ある日、ビルの中、王子様に囚われました。

お兄ちゃんはその夜、気まずそうに帰って行った。

私はシャワーを浴び、さっさとベッドに寝てしまった。
明日は天宮さんは何時頃来るのだろう。
それを聞きたくても私は彼に連絡を取る手段がない。

オフィスに行けばいいけれど、此処を出たら親の一件を考えると邪魔になるかもしれない。

本当に、囚われた小鳥みたい。
餌を貰って、彼がいたらホテルの部屋から出られる。
それでも、もやし生活一週間してた時よりも。

心も満たされてる。満たされすぎてドキドキして破裂しそう。

心も生活も極貧だったに戻るよりも、まだ囚われていたい。

夢なら覚めたくない。

そう思ってしまう。

甘い甘い非現実な夢の中。

私はすっかり囚われていく。

それは天宮さんが優しいから?
それとも私に沢山豪華な生活を送らせてくれるから?

後者だったら私は両親の血を受け継いでしまっている。

それがちょっぴり怖い。


『……俺の事、もっと知りたい?』

あんな聞き方ずるい。心臓が止まるかと思った。

……知りたい。
知りたいです。


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