ある日、ビルの中、王子様に囚われました。
「投資顧問会社balanza(バランサ)?」
「はい。このビルの34-35階にオフィスがあります」
このビルに会社があるって、……やはり住む世界が違う人だったんだ。
名刺に載っている名前を見て、さらに固まった。
副社長 天宮 雄大(あまみや ゆうだい)
「ふ、副社長?」
「はい。形だけですが」
「ふ、副社長って、え、うそ! 天宮さんって若いのに」
「ですからワケありです。そして社長は貴方のおじい様に当たる、地田 虎斉(とらひと)様なんです」
「お、おじい様?」
きっと私は、目も口もポカンとしていたんだと思う。
余りに間抜けな顔に、天宮さんの顔がまた綻んだ。
それにつられて、恥ずかしくなって視線を彷徨わせて髪を触って誤魔化した。
「実は昨日、心臓発作で社長が倒れてしまい」
寂しげな表情を見せた後、私の正面のソファに座り、目尻を押さえた。
「……社長の後継者争いや、遺産を巡り醜い争いが始まっていて、とてもじゃないのですが貴方に見せられる状況ではなくて」
「だから此処に?」
「そう。醜い争いから逃げて貰う為に、ここに」
びっくりした。
簡単に言えばそれで済むけれど、実際は言葉を失ってしまう。
こんな名前だけは知っているけど遠くから見るだけだった別世界。
そこにおじいちゃんが居ただなんて。
「お見舞いには行けますか?」
「はい。このビルの34-35階にオフィスがあります」
このビルに会社があるって、……やはり住む世界が違う人だったんだ。
名刺に載っている名前を見て、さらに固まった。
副社長 天宮 雄大(あまみや ゆうだい)
「ふ、副社長?」
「はい。形だけですが」
「ふ、副社長って、え、うそ! 天宮さんって若いのに」
「ですからワケありです。そして社長は貴方のおじい様に当たる、地田 虎斉(とらひと)様なんです」
「お、おじい様?」
きっと私は、目も口もポカンとしていたんだと思う。
余りに間抜けな顔に、天宮さんの顔がまた綻んだ。
それにつられて、恥ずかしくなって視線を彷徨わせて髪を触って誤魔化した。
「実は昨日、心臓発作で社長が倒れてしまい」
寂しげな表情を見せた後、私の正面のソファに座り、目尻を押さえた。
「……社長の後継者争いや、遺産を巡り醜い争いが始まっていて、とてもじゃないのですが貴方に見せられる状況ではなくて」
「だから此処に?」
「そう。醜い争いから逃げて貰う為に、ここに」
びっくりした。
簡単に言えばそれで済むけれど、実際は言葉を失ってしまう。
こんな名前だけは知っているけど遠くから見るだけだった別世界。
そこにおじいちゃんが居ただなんて。
「お見舞いには行けますか?」