夢見日和〜会えない貴方に恋してる〜
私は帰り道も、お母さんのあの涙を思い出していた。

すごくすごく愛されていて、羨ましいと思った。うちは…そうではないから。

「ただいま……」

「綾乃、そこに座りなさい」

おかえり、もないのか。

「なに?」

私がお母さんの前に座ると、お母さんは言った。

「碧斗君のことは残念だったけど。もう、忘れなさい。あなたにはあなたの人生があるの。」

残念なんて…よくそんな事が言えるね。

忘れろ…だなんて。忘れられるわけ…。

「…ない、じゃん。」

「なに?綾乃?」

忘れられるわけ、ないじゃん。

これ以上、口にしたら涙がでそう。

「言いたいことがあるなら言いなさい。」

でも。これだけは譲れないの。

「忘れられるわけっ…ないじゃない…っ。」

あぁ、やっぱり涙がでる。

お母さん…私、碧斗の事忘れるなんて、無理だよ…ねぇお母さんー…

「頭冷やしてきなさい。」




あぁ、やっぱりこうなるって思ってたよ。

お母さんは私の事、愛してないから。
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