手を取り合って

ご飯を食べ終わってお皿を片付けるといつものお話が始まりました。



「凛太朗、鬼ヶ島には決して近づくんじゃないぞ。あそこにはとても恐ろしい鬼が住んでおるんじゃ。」



毎日同じことを聞かされました。



「鬼なんかいなくなってしまえばいいのじゃが、恐ろしくて誰も近づけないんじゃ。あぁ、考えるだけでも恐ろしい。」


毎日毎日聞かされました。



「仏よ、どうか、どうか仏よ。わしらの愛しい凛太朗をどうかお護りください。」



耳にタコができたんじゃないかってくらい
毎日聞かされました。

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