ヴァージンロード <続>Mysterious Lover
「あぁそっか。それで、食事の企画?」
「あ……もしかして、この前の会話、聞いてた?」
「えっと……うん。ごめん」
「いいの別に。隠すことじゃないし。そうなの。もうあの2人だけに任せておいたら、全然進展しないから。ここはわたしたちで背中押しちゃいませんか、ってことになってね。最初はホテルのレストランで食事しようかって、いくつか下見もしたんだけど、それだとなんだかお見合いみたいで堅苦しいでしょ? だから一緒にお料理作って、ホームパーティはどうですかって話になって」
なるほど……それで、大事な妹、か。
変な言い方しやがって。
つまり、最初から奈央さんに本気で手を出す気なんてなかったってことか。
全部芝居……って、なんだよそれ。
オレは思いっきり脱力した。
「お母さんは、『こんな年から恋愛なんて』って言うけど。全然あきらめることはないと思うの。人を好きになる気持ちに、年齢なんて関係ないんだし」
そして、奈央さんは思い出したように「そうそう、それから」って
優しくオレを見る。
「和馬さんって下の名前で呼んでたのは、『新条さん』だと洋平さんと区別つかなくなっちゃうから。ね? わかったでしょ、拓巳が心配することは何もないって」
にこっとオレに笑顔を向けて立ち上がった。
「カフェオレ、マロカップで出してあげるね」